しょーさん「長い長い出産」 | 第1回ぐるっとママ懸賞作文

「私の出産」~母から子へ伝えたい言葉~

第1回ぐるっとママ懸賞作文

しょーさん「長い長い出産」

『みんなが待ちわびた赤ちゃんが生まれた!』
 

「ふぎゃあ、ふぎゃあー!」と元気な泣き声。大きな声で分娩室に響く声を聞いて、ようやく終わったという安堵感が胸の中に広がった。陣痛が始まって26時間。初めてのお産は長い長い出産に感じた。
助産師さんがあなたを胸の上に抱かせてくれた。赤黒くてしわしわでちょっと黄色い感じの赤ちゃん。手も足も爪もまつ毛も、どこも驚くほど小さい。そうっと触らないと壊れてしまいそうでドキドキしたけれど、その小ささと柔らかい感触がたまらかく可愛らしかった。大声で泣いたのは少しだけで、胸の上でおっぱいを飲むしぐさをした後は眠っていった。

 私達のところに来てくれた赤ちゃん、それがあーちゃん、あなただよ。結婚して3年目の初夏だった。お盆休みに家族に妊娠の報告をすると皆とっても喜んでいた。水城のおおばばは、報告を聞いたとたん声を上げて嬉し泣きをしていたよ。 新田のじいじは、かずみに私より先に妊娠したことを話してしまった!私の初めての赤ちゃんは、家族にとっては初孫だったり初ひ孫だったので、みんながあーちゃんの誕生を待ちわびていたんだよ。 

 妊娠してからあーちゃんが生まれるまで、不思議な体験がたくさんあった。

 始めはつわり。まいにち気持ち悪くて、色々な物が食べられなくなった。 食べられた物は、お米と味噌汁と漬物。 あれ?これって今あーちゃんの好きな食べ物だ!お腹の中にいたときから好きだったのかな?だから私にたくさん食べて欲しかったのね。

 次に胎動(赤ちゃんの動きを感じること)。10月の末頃から気づくようになった。胎動はどんどん増えて、とってもよく動くので男の子だと思っていたよ。

 そして出産。陣痛は出産予定日(赤ちゃんの生まれてくる頃の日)が近づくと始まることが多いんだけど、私は予定日を過ぎても始まらなかった。焦った私はスクワットをしたり、掃除に散歩、ゴルフのスイングなどもやってみた。そうしたらクタクタに動いた夜中に陣痛が始まった! 本当は破水(赤ちゃんのお部屋にあるお水みたいなものが出ること)もしていたんだけど、トイレに行った時だったので全く気づいていなかった。 痛みが始まってからは布団に転がって何度も何度も耐えながら朝を待った。朝になり、ばあばと一緒に病院へ向かった。診察してもらって陣痛が始まっていることがわかった。 でも、まだまだ産まれそうにないので病室で休んだり、病院の中を歩いたりしたよ。痛みは、なんどもなんども、繰り返し繰り返し続いた。痛みは、座っている姿勢によっても変化するんだけど、私は途中から痛みが弱くなっていたので横向きを勧められた。 この横向きが1番痛かった。それと出産が近づいてきて、あーちゃんの頭が私の膀胱(おしっこをためる袋のこと)を押さえてしまっていた。トイレに行っておしっこをしても、なかなか出なくて辛かったのを記憶しているよ。

 結局、陣痛が弱くなってしまい、生まれてくるあなたも疲れてきたようで、先生や助産師さんに手伝ってもらってもらうことになった。 吸引分娩と言う方法で、先生に少し頭を引っ張ってもらってあなたが生まれた!そして、生まれたあなたの臍の緒(赤ちゃんに栄養を届けていたホース)をパパが切るのを手伝ってくれたよ。

 これが、あーちゃんあなたの出産。何より大事なことは、私もあなたも命をかけた出産を終えたこと。そして、生きている人全てが同じ体験をしているということ。それを忘れずに、これからもその命を大切に幸せな每日を過ごしてね。
 


神奈川県 しょーさん
題名:長い長い出産
子どもへ伝えたい言葉:「みんなが待ちわびた赤ちゃんが生まれた!」