人生が変わる魔法の言葉 [柿谷先生のコラム] | 選択理論心理学・柿谷先生のコラム

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選択理論心理学・柿谷先生のコラム

2020.06.30

人生が変わる魔法の言葉 [柿谷先生のコラム]

 

私たちはたくさんの人の中で生活しています。しかし、周りの人たちが、いつも自分の思い通りに行動してくれるとは限りません。そのような時に、つい使ってしまう言葉があります。

「~しなければダメよ」「~しなさい」「もし~をしなかったら~だぞ」というようなボス的で、強制的な言葉です。このような、相手を自分の思い通りにコントロールしようとする心理学を「外的コントロール」と言います。「外的コントロール」は、大切な人間関係を破壊していきます。

世界的に有名な精神科医ウイリアム・グラッサー博士は、1998年の著書『グラッサー博士の選択理論』(アチーブメント出版)の中で、「外的コントロール」とは正反対の心理学、「選択理論」を提唱しています。その心理学を使えば使うほど私たちの人間関係は良くなっていきます。

私たちの抱える不幸の大半は、満足した人間関係を築けないことがその主だった原因だと言えます。博士が『グラッサー博士の選択理論』の中で主張していることは、私たちの抱える不幸に対処するためには、「外的コントロール」を完全にやめて、「選択理論」に置き換えるということです。

そうすることで、私たちの周りの人との関わり方は著しく改善されます。より良い結婚生活、より幸せな家族、学校での成功も可能です。職場では、品質や生産力が向上するでしょう。「選択理論」を理解する一番良い方法は、実際にその理論を学んで生活の中で使ってみることです。

そこで本書では、「外的コントロール」の言葉と、「選択理論」の言葉を対比して例示しています。

「外的コントロール」は、特に「批判する」「責める」「文句を言う」「ガミガミ言う」「脅す」「罰する」「褒美で釣る」という「7つの”致命的習慣”」の形で表されます。

「外的コントロール」は、幸せや成功を得るために必要な人間関係を傷つけ、破壊します。まさに全人類を悩ます疫病だと言えます。対して、「選択理論」はまさに正反対の心理学です。決してボス的でも、強制的でもないこの心理学は、人々の意見の違いを、お互いが満足する形で解決します。

この理論を使う人は、相手の考えを尋ね、話し合いを行うようになります。決して強制的に何かをやらせたりはしません。

「選択理論」を身につけている人は、「支援する」「傾聴する」「受け入れる」「信頼する」「尊敬する」「違いについて交渉する」という「7つの”関係を確立する習慣”」を自然に使いながら他人と関わるようになるでしょう。
 
この二つの心理学の違いは驚くべきものです。

「外的コントロール」の言葉は、「~しなければならない」という強制的な言葉、さらに、「もし、お前が言われたことをしなかったら、罰を与えるぞ」という脅しがあり、「もし、これをやれば、ご褒美をあげるよ」といった約束となることもあります。

対して、「選択理論」の言葉は、周りの人との問題を解決していきます。「外的コントロール」の言葉は周りの人との問題を増やすばかりです。本書では二つの生活場面の中で、「外的コントロール」の言葉と、「選択理論」の言葉との違いがはっきり分かるように構成されています。

「恋愛と結婚の場面」では、ほとんど平等な二人が、関係を崩さずに問題を解決するにはどうすれば良いかを例示しています。「外的コントロール」の言葉は、すぐに、そして永久に、夫婦の関係を壊します。結婚関係は逃れることが最も難しい人間関係です。

そのような状況で「外的コントロール」の言葉を使うことによって、互いに避難すること、尻に敷くこと、口喧嘩、そして、互いに無関心になることをより一層エスカレートさせていくのです。

このような猛攻撃を長い間受けながら、幸せな結婚生活を送ることはほとんど不可能です。「選択理論」は「私たちの行動をコントロールできるのは、私たちだけである」という考えに基づいています。

私たちが他人に与えたり、他人から受け取ったりすることが出来るものは全て情報です。私たちはその情報を受け取り、どうするかを自分で選ぶことができます。情報自身が私たちに何かをさせることは出来ません。

他人から、ある言葉を言われ、ある人は怒り、ある人は落ち込む。それは、自分で怒りや落ち込みを選択しているのであって、言われた言葉が私たちを怒らせたり、落ち込ませたりするのではないのです。

例えどんなに強力な脅しに直面していようとも、自分の行動は自分で選ぶことが出来るのです。まして、思考までもコントロール出来る脅しなどはありません。

最後に、「外的コントロール」と「選択理論」の重要な違いは、創造性である、ということに触れておきましょう。創造性がなければ、どんなに親しい関係も次第につまらなくなっていきます。

全ての人は創造性を持っていますが、「外的コントロール」を使う人々の言葉や考え方は、ほとんど完全に非創造的だからです。たいていは、いくつかの決まり文句や脅しを繰り返すだけだからです。

それは太古の昔から何も変わっていません。それに比べて「選択理論」の言葉は、創造性が豊かで、思いやりがあり、ユニークです。

ほとんどの人が人間関係を築くときに創造性が重要なことを理解していますが、「外的コントロール」の言葉を使うことで、どれほど人間関係を非創造的で決まりきったものにしているかを理解していないのではないでしょうか。

本書はあなたに、周りの人との新しい話し方、ある意味では、人生をより創造的なものにする方法を紹介するといってもいいでしょう。

構成上、あなたが本書を開いた時の右ページに「外的コントロール」の言葉が書いてあり、次に開いたページには、同じ状況で「選択理論」の言葉でどのように言い替えることができるか、その例が書いてあります。

どうか「選択理論」の言葉は”新しい”ということを頭に入れておいてください。あなたははじめ「これは効果がないよ。甘やかせ過ぎだよ」とか、「強制や罰のほうがすぐに効果があっていいよ」などと思うかもしれません。

そして実際、短期的に見れば「外的コントロール」の言葉は効果があるように見えるでしょう。しかし、長い目で見れば、「外的コントロール」の言葉はより良い人間関係を築くのに決して効果はありませんし、誰からも望まれないものなのです。

「外的コントロール」には、常に”不幸”という高すぎる代償がついてきます。何ページかを読み進めた後、あなたは次にくるページの言葉を隠し、「選択理論」の言葉を考えてみてください。

それは新たな人間関係を作り上げる上でのとても良い練習です。何も一つに絞る必要はありません。「もしこの言葉を言ったならば、相手との距離は近くなるか?遠くなるか?」という質問を自分に投げかけながらやってみてほしいのです。

私たちに必要な人間関係は、ほとんどの場合短期的なものではないということを覚えておいてください。「外的コントロール」の悪影響は次第に大きくなっていきます。
 
例えば育児におけるいくつかの問題は、子どもの思春期に突然表面化するように見えることがあります。ですが、それは突然起こるのではありません。「外的コントロール」はいつも抵抗されているのです。

はじめは小さい抵抗も、時がたてば大きくなり、やがて最後には爆発する形で現れます。小さな問題だったものも、だんだん解決するのが困難になってくるのです。「外的コントロール」によって、目の前の問題には対処できるかもしれませんが、決して根本的な解決にはなりません。それを端的に示したものが本書なのです。
 

「人生が変わる魔法の言葉」~親と子・夫と妻・恋人たちのMiracle Words~

アチーブメント出版
原著:ウイリアム・グラッサー
   カーリーン・グラッサー
監訳:柿谷正期

「はじめに」からの抜粋
 
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