選択理論を日本に広めた第一人者である日本選択理論心理学会会長の柿谷正期先生によるコラムです。

人は変えられないが、自分は変われる。そして、幸せを生きる。

選択理論心理学・柿谷先生のコラム


人は変えられないが、自分は変われる。
そして、幸せを生きる。


選択理論をベースとしたカウンセリング手法「リアリティセラピー」の
日本人初の米国ウイリアム・グラッサー協会認定インストラクターであり、
日本初の認定講座を主催する柿谷正期先生のコラムです。


写真:柿谷先生とご家族

Columnコラム

いじめっ子への処方箋 [柿谷先生のコラム]

2021.06.06

いじめっ子への処方箋 [柿谷先生のコラム]

上質教育が鍵   品質管理の父と呼ばれたデミング博士は、組織に問題があれば、組織の構成員を叱咤激励するのではなく、組織のシステムを変えなさいと言った。 故デミング博士にいじめ問題の解決策を聴けば、問題は97パーセント教育システムにあると答えることは間違いない。 教師、親、生徒が悪いと言う前に、指導者は教育システムを改善することだ。 この改善の継続こそ「上質」達成の秘密がある。同じ路線に立つリアリティーセラピーの提唱者グラッサー博士は、「上質教育」(クオリティ・スクール)こそ教育関連問題の解決の鍵と言う。 すべての行動に目的があるとすれば「いじめ」と思われる行動にも隠された目的がある。 行動の目的は基本的欲求を満たすことにある。 基本的欲求とは、「愛・所属」「力・価値」「自由」「楽しみ」「生存」の5つである。 のどの渇きは生存の欲求を満たすために必要である。 渇きを我慢していると、この生存の欲求は強力になる。 きれいな水がなかったら、汚い水でも飲みたくなる。 基本的欲求は遺伝子の強力な指示で、満たすまでその指示はやまない。 健全なかたちで満たせなかったら、不健全なかたちでも満たしたくなる。 いじめはまさにこの不健全なかたちでの欲求充足なのだ。   予防にまさる解決策はない。と言われるが、いじめを止めるためには、健全なかたちで基本的欲求を満たすシステムづくりをすることである。 強制から上質は生まれない。この事実を教育界でも再認識したい。 上質は温かい人間関係のなかから生まれる。 文部省を頂点とした教育システムが一朝一夕に変わるとは思わないが、文部省レベル、県レベル、市町村レベル、学校レベル、学級レベル、家庭レベルでできることがある。 たとえば、そのひとつは、強制を極力排除することである。 校則の見直しでもっと自由の欲求を満たす環境づくりをする。 学校の教師にもう少しゆとりを与えて、楽しい授業の準備ができるように援助する。 教室の生徒数を現行40名からまずは35名、そして30名、25名と可能な限りに減らすのもシステムの改善である。 教師と生徒がもっと温かい人間関係を持てるようにボスマネジメントからリードマネジメントへ移行する。 評価の際に、今以上に生徒自身の自己評価の概念を導入し、その生徒の自己評価を尊重する成績システムをつくる。 家庭レベルでは、もっと楽しい家庭環境をつくる。子どもを押せえ込まないでもっと自由を与える。 小さな変化が欲しいなら、行動を変えればいい。しかし、大きな変化がほしいなら、考え方を変えることだ。 上質をめざす教育という新しい考えが実践される過程で、いじめは根絶される。   (柿谷カウンセリングセンター所長) 「いじめっ子への処方箋」  カウンセラー50人によるいじめ解決法   松原達哉[編] 立正大学教授   教育開発研究所  

0
今いじめられている君へ [柿谷先生のコラム]

2021.05.10

今いじめられている君へ [柿谷先生のコラム]

「苦しみに会ったことは、私にとってしあわせでした」    いじめられている君に、こんなことばはピンとこないと思う。 ​​​​​​このことばは、苦しみをのりこえた人が実際語ったわけだから、その人にとっては真実なのだ。 今苦しんでいる君にも、そう言えるときがきっとくる。 そして、ぜひそう言えるような生き方を選んでほしい。 「問題や障害が人を不幸にするのではなく、それに対する態度が人を不幸にする」(エピクテトス)。 確かに今大きな問題に直面している。 でもその問題そのものが人を不幸にするのではなく、問題に対する態度、姿勢が人の幸、不幸を決めるのだ。 君が問題を乗り越えるために、役立つことをいくつか分かちあいたいと思う。  いじめは、どれほどなくす努力をしても、どこにでもある。大人社会にもある。 家族の中にも残念ながら起こり得る。歴史のなかで戦争がなかった時代はなかったし、いじめのない社会はない。 いじめられないにこしたことはないが、いじめが自分の身に起こったときに、絶対にありえないことが起こったとは考えないことだ。 君以外にもいじめられている人はいる。みんなそれなりに対処している。 必ず良い対処の仕方はある。  人間には誰でも、友だちがほしい、自分に価値があると感じたい欲求がある。 ちょうど水を飲みたいという欲求が、誰にでもあるように、こうした欲求は、幸せな人生を生きるためには満たさなければならない。 でも、すべての人から好かれる必要はない。 今君をいじめているグループの人たちから、「愛、友情」が得られなくても、必ず君のことを気にかけてくれる人はいるし、新しい友人もきっと、いつかつくれるときがくる。  樹木は風にゆられて根をしっかりとはる。 金は火で精錬されて、その純金度をましていく。 問題にぶつからずに成長する人はいない。 君がこのいじめの問題を克服したときに、人の悲しみや苦しみを深く理解し、やさしさを身につけた人になれる。 ひとまわりも、ふたまわりも大きくなれる絶好のチャンスなのだ。  君にしかできない仕事がある。 どんなに苦しくても、つらくても、誰にもできない君だけの仕事。 どんな障害、難題をかかえていたとしても、君にしかできない仕事がある。 それは君の人生を生き抜くことだ。  きっと君は、「苦しみに会ったことは、私にとってしあわせでした」と言えるようになる。 すぐに結論を出さずに、嵐が通り過ぎるまで、苦しみがしあわせに変わるまで一緒に歩もう。   (柿谷カウンセリングセンター所長) 「今いじめられている君へ」  カウンセラー50人からの手紙    松原達哉[編] 立正大学教授   教育開発研究所  

1
幸せを育む素敵な人間関係 その⑬ [柿谷先生のコラム]

2021.04.05

幸せを育む素敵な人間関係 その⑬ [柿谷先生のコラム]

「最後に」    ご一緒に「選択理論]を学ぶことで、人がなぜ、どのように行動するかがおわかりいただけたと思います。 私も以前は「外的コントロール心理学」と呼ばれる心理学で生活していたために七つの致命的習慣を使って相手を外側からコントロールしよう(変えよう)としていた時期がありました。 当然、相手は強制を感じ抵抗します。変えられない相手を変えようとすればするほど、相手との距離は離れ、ストレスを感じます。 今、もしそのような状況を経験されている方は、ぜひこの本を何度も読み返して「内的コントロール心理学(選択理論)」を実践してみてください。   選択理論の基盤となる考え方   (1)人の動機付けは内側から。人は誰しも内側にある基本的欲求を満たそうとして行動する。 (2)「自分は正しい、相手は間違っている」と考えて、自分の願望に固執するのではなく、それぞれの上質世界は違う、と考えて、人間関係の維持、改善を優先する。 (3)相手を変えることはできない。自分にできることは、自らの「全行動」をより良い人間関係を築く方向に向け、効果的な「行為」と「思考」を選択することである。  一人でも多くの方が、選択理論のエッセンスとも言える前記の三つの概念、「基本的欲求」「上質世界」「全行動」を理解して日常生活を送っていただきたいと思います。 素晴らし人間関係が、家庭で、職場で、学校で、地域社会で築かれていくことと思います。  事実、アメリカでは「選択理論」に基づく教育改革に取り組んでいる学校が二百校以上あります。 「グラッサー・クオリティー・スクール」と自他共に認める学校では、基本的欲求が満たされる楽しい環境の中で子どもたちは生き生きと学習しています。 そのような学校では子どもたちの学習に対する意欲も、学習レベルも高く、不登校がなく、規則違反の問題が起きません。 近い将来、日本でも「選択理論」に基づく教育改革に取り組む学校が現れることを心から願っています。  みなさん、ぜひ幸せになってください。自分自身が幸せで喜びにあふれた人になることが、自分の身近な人にとって最善で最大の貢献となるのですから。 自作の詩「I Have a Dream」の中で描写したコミュニティが実現することを願いつつ、最後までお読みいただいた皆様に心から感謝いたします。 著者の柿谷寿美江先生(中央) 著者:柿谷 寿美江 発行:クオリティ・コミュニティをめざす会

0
幸せを育む素敵な人間関係 その⑫ [柿谷先生のコラム]

2021.03.23

幸せを育む素敵な人間関係 その⑫ [柿谷先生のコラム]

「やさしさこそが大切で悲しさこそが美しい」    脳性マヒでありながらも、明るさと優しさを持ち続けて15年の生涯を閉じた、山田康文君の素晴らしい詩をご紹介したいと思います。 自分の身体を思う様に動かすことが出来ない過酷な状態の中でも、彼の心は思いやりと感謝の気持ちに満ち溢れていました。 ごめんなさいね おかあさん ごめんなさいね おかあさん ぼくが生まれて ごめんなさい ぼくを背負う かあさんの 細いうなじに ぼくはいう ぼくさえ 生まれなかったら かあさんの しらがもなかったろうね 大きくなった このぼくを 背負って歩く 悲しさも 「かたわな子だね」とふりかえる つめたい視線に 泣くことも ぼくさえ 生まれなかったら この詩を読んだお母さんがすぐ次の詩を書きました。 わたしの息子よ ゆるしてね わたしの息子よ ゆるしてね このかあさんを ゆるしておくれ お前が脳性マヒと知ったとき ああごめんなさいと 泣きました いっぱいいっぱい 泣きました いつまでたっても 歩けない お前を背負って歩くとき 肩にくいこむ重さより 「歩きたかろうね」と母心 ”重くはない”と聞いている あなたの心が せつなくて わたしの息子よ ありがとう ありがとう 息子よ あなたのすがたを 見守って お母さんは 生きていく 悲しいまでの がんばりと 人をいたわる ほほえみの その笑顔で 生きている 脳性マヒの わが息子 そこに あなたがいるかぎり このお母さんの心を受けとめるようにして、康文君が次の詩を残しました。 ありがとう おかあさん ありがとう おかあさん おかあさんが いるかぎり ぼくは生きていくのです 脳性マヒを 生きていく やさしさこそが 大切で 悲しさこそが 美しい そんな 人の生き方を 教えてくれた おかあさん おかあさん あなたがそこに いるかぎり 「おかあさん、ぼくが生まれてきてごめんなさい」    向野幾世著 扶桑社より  人間関係が悪くなると、身近な重要な人に「ありがとう」や「ごめんなさい」が言いづらくなります。 逆にどんなに状態が悪くても、人間関係が良ければ、思いやりや感謝の気持ちを伝え合って困難を一緒に乗り越えることができます。 選択理論を生活の中に取り入れて、ぜひ「幸せを育む素敵な人間関係」を築いて欲しいと思います。 著者の柿谷寿美江先生(中央) 著者:柿谷 寿美江 発行:クオリティ・コミュニティをめざす会  

0
幸せを育む素敵な人間関係 その⑪ [柿谷先生のコラム]

2021.02.03

幸せを育む素敵な人間関係 その⑪ [柿谷先生のコラム]

「運命は口癖で決まる」    カウンセリングの仕事をしていると、幸せに生活できる環境にありながら、悩みを持っている多くの人々に接する機会があります。 そしてお話を伺っていると、周りの状況よりも、その人の心の持ち方(日頃、どんな事を考え、口に出してしゃべっているか)が、その人の人生に大きく関わっていることがわかってきました。 そのことに関して、まさに私が望んでいた情報が載っている一冊の本を紹介されました。 医学博士の佐藤富雄先生が書かれた「運命は口癖できまる」(三笠書房 知的生き方文庫)という文庫です。 先生は、心理学、生理学の観点から、「口癖」が人間の脳と人生に及ぼす研究をしてこられました。 そして本の中で先生は、「私の理論で言えば、口癖にしている言葉が人生を作り、口癖通りの人生を送っていることになります。」と述べています。 ということは夫のこと、子どものことで愚痴る主婦の方は、しゃべればしゃべるほど、その状況が続くことになります。 「お金が無い、時間が無い、余裕が無い。ストレスが溜まる一方。顔のしわが増えてきた。・・・・・・・」 などと言い続けていると、どうなるでしょう? そうです、言っていることが現実してしまうのでう。口癖をチェックして、早く良い口癖に変える方が良さそうです。 生きていればうまくいかないこと、不運に思えることいっぱいあります。 でも、きっと自分のわからないところで、つじつまが合うようになっているのかも知れません。 もしかしたら、人間としての完成度を高めるための必要、必然、ベストな状況なのかもしれません。 今日から不平、不満を口から出さずに、喜びと感謝の言葉を口に出してみませんか? 今の状況をプラスに受け止めて感謝していると、次のもっと素晴らしいドアが開くかもしれません。 そして「望む人生」を口に出してしゃべってみましょう。 口癖にしていることが現実のものになります。五年後、十年後が楽しみですね。  毎日探せば、私たちの周りは感動と感謝に満ち溢れています。 幸せな人間関係を築き、充実した人生を送る上で必要なのは、まず自分自身を肯定し、より良い変化を求めて第一歩を踏み出すことではないでしょうか? 「ありがとう」の言葉を日常生活で頻繁に使うだけで、変化は確実に起き始めると思います。   著者:柿谷 寿美江 発行:クオリティ・コミュニティをめざす会

1
幸せを育む素敵な人間関係 その⑩ [柿谷先生のコラム]

2021.01.16

幸せを育む素敵な人間関係 その⑩ [柿谷先生のコラム]

「ベストを尽くす生き方」 先日、医師で日本笑い学会副会長の昇幹夫先生が書かれた記事「笑いは心の栄養素」を読ませていただきました。 「・・・・・人間は死ぬからいいのです。終わりがあるから、安心して限りある人生を精一杯生きようという気になるのです。この原稿だって、たった7ページと思うから読んでみようという気持ちになったんでしょう。 これが数千ページにのぼる○○白書だったら誰が読みますか? 花火だって消えるからいいのです。いつまでも夜空で光っていてごらんなさい。「早く消えろ、首が痛い」とわめく奴が出てくるに決まっています。 我々は地球という島に島流しにあった死刑囚なのです。必ず終わりが来る。その中に模範囚もいればどうしようもない奴もいるけれど、皆に共通しているのは修行しなきゃいけないということです。」   ここで言われている修行とは、どんなことでも自分がこれだと思うことに、ベストを尽くして諦めないで取り組むことを意味しているのではないか、と思いました。 人生には、どんな人でも、大なり小なり、問題、悩み、試練があります。過去のせい、人のせい、環境のせいにしている間は、不平、不満、批判が口から出るばかりで、自分が修行していることになりません。 まずは周りがどうであれ、自分はこうしたい、こうなりたいと決めて、自らがイニシアティブを取って行動し始めることです。修行ですから、うまくいかないこと、やめたくなることがあって当然です。 でも、自分がベストを尽くす過程で成長、変化していくと、物事のとらえ方、考え方が変わったり、「過去と他人は変えられない、変えられるのは未来と自分」であることがわかって来ます。 そして、ベストを尽くすことで、本来持っているのに発揮されていなかった自分の長所が見出されたり、無理と思っていたことが努力の積み重ねでできるようになったり、と感動することがたくさん出てくるはずです。 そしてやがて、私たちの心の中に希望、不屈の精神、自信、楽観主義、尊敬、責任などの実が、必ず結ばれていくようになると確信しています。   著者:柿谷 寿美江 発行:クオリティ・コミュニティをめざす会

0
もっと見る

INFOインフォメーション

名称 選択理論心理学・柿谷先生のコラム
(センタクリロンシンリガクカキタニセンセイノコラム)
住所 神奈川県横浜市
公式URL http://www.choicetheory.net/kcc/






柿谷正期
柿谷正期

1942年満州に生まれる。島根県出身。

元通商産業省事務官。中央大学夜間部から同大学院に進み、文学修士(英文学)を取得。
渡米してウイートン大学大学院(M.Div.)、トリニテイ国際大学(Th.M.),心理学研究学院、 ジョージア 州立大学大学院(M.Ed.)で、聖書、神学、コミユニケーション、カウンセリング心理学を専攻。
学際的な研究を積み、4つの修士号を取得。結婚して3人の男子の父。

・日本選択理論心理学会会長
・日本カウンセリング学会会員・同認定カウンセラー
・元中央大学講師(1978-1998)
・ウイ リアム・グラッサー国際協会(WGI)認定会員・同プラクテイカム・スーパーヴァイザ ー・同シニアインストラクター、日本臨床心理士資格認定協会認定臨床心理士