いじめっ子への処方箋 [柿谷先生のコラム] | 選択理論心理学・柿谷先生のコラム

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2020.05.01

いじめっ子への処方箋 [柿谷先生のコラム]



上質世界が鍵
 

品質管理の父と呼ばれたデミング博士は組織に問題があれば、組織の構成員を叱咤激励するのではなく、組織のシステムを変えなさいと言った。

故デミング博士にいじめの問題策を聴けば、問題は98パーセント教育システムにあると答える事は間違いない。

教師、親、生徒が悪いと言う前に、指導者は教育するシステムを改善することだ。この改善策の継続こそ「上質」達成の秘密がある。

同じ路線い立つリアリティセラピーの提唱者グラッサー博士は「上質教育」(クオリティ・スクール)こそ教育関連問題の解決のカギを言う。

すべての行動に目的があるとすれば、「いじめ」と思われる行動にも隠された目的がある。

行動の目的は基本的欲求を満たすことにある。

基本的欲求とは、「愛・所属」「力・価値」「自由」「楽しみ」「生存」の五つである。

のどの渇きは生存の欲求を満たすために必要である。渇きを我慢していると、この生存の欲求は強力になる。きれいな水がなかったら、汚い水でも飲みたくなる。

基本的欲求は遺伝子の強力な指示で満たすまでその指示はやまない。健全な形で満たせなかったら、不完全な形でも満たしたくなる。

いじめはまさにこの不完全な形での欲求充足なのだ。予防にまさる解決策はない、と言われるが、いじめを止めるためには健全な形で基本的欲求を満たすシステムづくりをすることである。

強制から上質は生まれない。

この事実を教育界でも再確認したい。上質は温かい人間関係の中から生まれる。

文部省を頂点とした教育システムが一朝一夕に代わるとは思わないが、文部省レベル、県レベル、市町村レベル、学校レベル、学級レベル、家庭レベルで出来ることがある。

たとえば、そのひとつは強制を極力排除するとである。校則の見直しでもっと自由の欲求を満たす環境づくりをする。

学校の教師にもう少しゆとりを与えて、楽しい授業の準備が出来るように援助する。教室の生徒数を現行40名からまずは35名、そして30名、25名と可能な限りに減らすのもシステムの改善である。

教師と生徒がもっと温かい人間関係を持てるようにボスマネジメントからリードマネジメントに移行する。評価の際に、今以上に生徒自身の自己評価概念を導入し、その生徒の自己評価を尊重する成績システムをつくる。

家庭レベルでは、もっと楽しい家庭環境をつくる。子どもを押さえ込まないでもっと自由を与える。

小さな変化が欲しいなら行動を変えればよい。しかし、大きな変化が欲しいなら考え方を変えることだ。

上質を目指す教育という新しい考え方が実践される過程でいじめは根絶される。

(柿谷カウンセリングセンター所長)

「いじめっ子への処方箋」~カウンセラー50人によるいじめ解決法~
松原達哉著[編]:教育開発研究所 抜粋 

 
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