岩﨑 千佳:子どもの声を代弁し新しい教育の形を生み出す志事 [志事] | 誰かの役に立つ「志事」の素晴らしさ

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2022.11.06

岩﨑 千佳:子どもの声を代弁し新しい教育の形を生み出す志事 [志事]

ー目の前にいる子どもに全身全霊で耳を傾けるー



■教師として目指すもの

私は小学校教師として17年間の経験を経て、この度2023年4月にamazing collegeという『子どもが創り出した学校』の開校を推進しています。教師というと、一般的には“教える人”のイメージが強いと思いますが、私としてはずっと子どもたちから教えられ続けてきたと思っています。以前勤めていた大阪教育大学附属平野小学校では、「未来そうぞう科」という新教科の創設に携わり、子どもたちの声を聞きながら新しい教科を創り上げていきました。この経験を基に今回、新しく”子どもがつくる”をコンセプトとした学校の開校を計画しています。

教師として常に学び続けることができ、子どもの声を聴き続けられることが、私の一番の幸せです。子どもにとってのよりよい未来を考えることで、普段は見過ごしてしまう景色も全て学びを生み出すスイッチに変わる瞬間はとても楽しいです。

そして何よりも、私は命あって生まれてきた全ての子どもたちが、心の底から「生まれてきてよかった」と思える世界を創りたいと思っています。大人はどうしても子どもたちの声に耳を傾けることなく、自分の思考の枠の中で子どもの学びを評価してしまうことがあります。しかし、子どもは常に新しいものを見て学び続けています。その姿を大人が見落とさないように、子どもの声を代弁し続けていきたいと思っています。常に新しい教育の形が何であるかを働きかけ続けることが、新しい教育の形を生み出すことに繋がると信じています。



■子どもたちが理想とする学校



2022年5月にamazing collegeの第1回目の学校説明会を開催した際に、集まった子どもたちが自主的に『子ども会議』を開き、理想の学校について話し合っていました。その会議では自然と役割分担ができ、会議の結果を報告しに来てくれました。理想の学校として多くの子どもたちが賛同したのは、『自由すぎる学校』とのことでした。

そして、その『自由すぎる学校』にするための意見も、子どもたちから様々に出てきました。子どもたちに突き動かされて学校名を決め、ホームページを作り、プレ開校して今に至っています。

特に学校名については、「名前から『学校』を無くしたい」という子どもたちの意見や、私たちがめざしていることが今の学校のスタイルとは違い、専門的なことを突き詰めたり、子どもの「好き」を輝かせることであるという意見を踏まえて『カレッジ』にしました。学校を母体として、様々なコミュニティが生まれ、拠点となるような場所をイメージしています。


■子どもが主体となる学校「amazing college」

学習で大切なことは、子ども自身から出てくる問いを大事にして探究を進めることだと思いますので、子どもにとって学びの必然性がある状態で授業が進んでいくことは外せません。みんなが同じ力を備え、同じように出来るのではなく、自分の得意・不得意を知った上で自分のやりたいことをどう成し遂げていくかを考えることが大切だと思っています。卒業後の進路についても、進学や起業や留学などその子にとって最適な選択肢を自らが自由に選べるようにすることを想定しています。

私たちのカリキュラムは、決して「好きなこと」のみで構成されているわけではありません。
・自分自身を対象とした領域(自分の好きなことを追求)
・集団や人間関係を対象とした領域(遊びの中で仲間意識を育み、集団での取り組みを学ぶ)
・広く社会や自然を対象とした領域(本当によりよい未来を実現するために何ができるか)
の3つの領域を設け、その中で学習指導要領の内容も網羅するようにしています。何か1つの領域のみ特化して行うことはしていません。




■大人を育てる学校

amazing collegeは、『大人が学ぶ』こともコンセプトにあります。子どもがつくり、大人を育てる『未来そうぞう学校』と位置づけていますので、まずは大人自身が育つ覚悟を持つよう伝えています。よって、子どもだけ学べばいい、と自分が育つ覚悟のない方はお引き取りいただいております。

先日、チーム大人はどのように関われるかを話し合いました。大人側も自分の関わり方を自分たちで考えて実現していくことを行っています。大人会議では、自分たちで関わり方のルールを決めて子どもの企画したイベントに携わったこともあります。子どもたちだけでは絶対に無理だろうと思っていた部分もありましたが、子どもたちが見事に全てをやり遂げる瞬間に立ち会いました。それを見た大人は、子どもたちから多くの学びを得ました。



■AIとの向き合い方

世の中では、クリエイトの“創造”がとても注目されているように感じます。しかし、クリエイトに至るにはイメージの“想像”が一番大事であると考えます。そしてイメージには計り知れない無限の可能性があり、人だからこそ出来ることだと思います。

また、最近では教育の最適化としてディープラーニングやAIを導入することもありますが、あくまでも子どもたちが主役ですので、大人から押しつけることはしません。子どもたちが関心のあることについて問いを持って開拓していくために必要と感じた時には、取り入れたいと思っています。


■未来を担う子どもと全ての大人たちへ

子どもたちには「今こそあなたたちが時代を変える時だと思いますので、自分に自信を持って存分に想いを発信してください」と伝えたいです。

そして、子どもに関わる全ての大人には「子どもの声を評価したり判断したりするのではなく、そのままを受け入れて聴いてほしい」と伝えたいです。我が子であるなしに関係なく目の前にいる子どもの声を全身全霊で真っすぐに聴いた時、世界は一瞬で変わると私は思っています。きっと、今まで見えていなかった学びがたくさん溢れてくると思いますので、ぜひ子どもたちからたくさん学んでください。

amazing collegeでは、オンライン開校「アメイジングフレンズ」を行っており、全国ツアーも回っております。詳しくはホームページからご確認ください。
https://www.amazing-college.com/




岩﨑 千佳
Head Teacher。「未来の教育の価値観を創造する」
国立「大阪教育大学附属平野小学校」元副校長。文部科学省研究開発指定校として、2030
年以降の新たな教育の形を探るべく「未来をそうぞう(想像・創造)する子ども」の育成を
目指して、2016 年に新教科「未来そうぞう科」を仲間と創設。子どもたち自身から湧き
出てくる「好き」を追究、馬の飼育や無人島体験、輝く大人との出会いから生きるを考え
る等、オリジナリティー溢れる授業を展開。


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