2023.05.11
クラシック音楽は胎教にいいって本当? [薬学博士からのアドバイス]
脳科学的栄養学No.229
102歳をらくらく生きる脳科学的健康講座
◇クラシック音楽は胎教にいいって本当?
メディアやネットなどで流されている数多くの健康情報と同じように、脳に関する情報も科学的事実から噂やデマまで玉石混交です。
何が真実で、何がウソなのかなんとも悩ましいところです。
そこで今回は、そうした状況の中で代表的な例を、脳科学者クリステン・ウィルミア、サラ・トーランド著「脳のメンテナンス大全」の中から紹介します。
まず、人間は脳の10%しか使っていないというのはウソです。
能力開発系のセミナーではこのような話が分かりやすいのでよく引用されているようです。
事実は、10%どころか脳は休息中や睡眠中でも、脳を100%使っています。
実際、睡眠中の脳は実に活発で、昼間に溜まった老廃物を除去するなど、重要な仕事をこなしているのです。
また、人類は地球上で最も大きな脳を持っているというのも間違いです。
最大の脳を持つのはマッコウクジラ(ハーマン・メルヴィルの小説「白鯨」に登場するクジラ)で、脳の容積は人間の脳の5倍もあります。
大きな脳のおかげでマッコウクジラは大半の哺乳類より頭がいいとされています。
コミュニケーション能力が非常に優れていることが数々の研究によって明らかになっているところです。
マッコウクジラは研究対象とするには大きすぎるので、同じクジラ目のイルカを使った研究があります。
それによるとイルカは訓練すれば鏡を見て自己認識できるほか、海中の機雷や海で行方不明になった兵士を探すこともできることが認められています。
子どもを持つ人は、わが子にクラシック音楽を聴かせて育てると、幼稚園のクラスで一番賢い子どもになる、という話を聞いたことがありませんか。
しかし、ベートーベンを聴いて育った赤ちゃんにはちょっと残念なお知らせがあります。
胎教によいと謳(うた)うCDが大量に売られていますが、クラシック音楽を聴かせても、胎児のIQは残念ながら高くはならないのです。
それよりは、幼児の時からピアノや弦楽器など実際に体や手や頭を使う習い事なので脳の神経網の発達が促進されることが確認されています。
つまり、音楽はただ聞くよりも楽器演奏の方が効果性があります。
これは胎児に関わらずシニア世代になっても楽器演奏などは脳の神経網の伸展を促すことが知られてます。
私が60歳を前にJAZZピアノを始めたのもそのため。
自著「脳は都合よく使えばいい」でも、自身の体験から”ピアノは脳のジョギング”と書かせていただきました。
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