2023.06.01
空腹時血糖値が高い、体の中で起きていることとは?② [薬学博士からのアドバイス]
脳科学的栄養学No.232
102歳をらくらく生きる脳科学的健康講座
◇空腹時血糖値が高い、体の中で起きていることとは?②
前回の血糖値とはに続いて、今回は空腹時血糖値です。
正常とされる空腹時血糖値は、110mg/dL未満、特定健診ではより予防的な観点から100mg/dL未満と厳しくされています。
糖尿病と診断されるのは126mg/dL以上です。
肝臓などがきちんと糖を処理していれば、10時間前にいくらたくさん食べても、血糖値は基準値内に収まります。
それなのに超えているということは、糖の処理が追いついていないということを示しており、正常に糖を処理するための機能のどこかが低下していることになります。
100mg/dLを超えていれば異常とまではいえなくても、糖が血液中にだぶついているかもしれない、と考えます。
126mg/dL以上は、明らかに処理できずに余っている状態です。
検査した日の血糖の量を単純に見ている空腹時血糖値に対し、HbA1cというのはもっと長期的な指標で、検査前1~3カ月間の血糖の状態を反映しています。
赤血球の中には酸素を運ぶトラックであるヘモグロビンというタンパク質があります。このヘモグロビンにどれくらい糖がくっついているかの割合をパーセントで表した数字がHbA1cです。
糖はタンパク質とベタベタとくっつく性質があります。
テーブルにこぼしたオレンジジュースが乾くと、その部分がベタベタしますよね、ちょうどそんな具合です。
ヘモグロビンの寿命は120日程度といわれており、その間に血液中にブドウ糖が多いとヘモグロビンにもくっつくというわけです。
糖に、くっつかれたヘモグロビンをイメージしてみてください。ベタベタくっつかれて本来の仕事ができなくなってしまう感じがしますよね。そんなイメージです。
HbA1cの基準値は5.5%以下。糖尿病の診断基準は6.5%以上で、かつ、空腹時血糖値も126mg/dL以上であれば糖尿病と診断されます。
この連載でも度々お話ししてきましたが、健診の結果というのは、基準値を超えたかどうかだけを見て一喜一憂するという見方をしないでほしいのです。
経年的な変化が大切で、たとえまだ基準値を超えていなくても、年々血糖値が上がっていて、もう少しで基準値を超えそう、ということであれば、食生活や運動などの生活習慣が変化していないか、と自らを振り返ってその原因を考えることが大切です。
そういう意味で、自分の血液の中にどれくらい糖が入っているかを具体的に知り、基準値を一つの判断基準の物差しに使ってほしいと思います。
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