幸せを育む素敵な人間関係 その⑦-Ⅰ [柿谷先生のコラム] | 選択理論心理学・柿谷先生のコラム

人は変えられないが、自分は変われる。そして、幸せを生きる。

選択理論心理学・柿谷先生のコラム

2020.10.29

幸せを育む素敵な人間関係 その⑦-Ⅰ [柿谷先生のコラム]

「人生は選択」①

 自分を取りまく小さな世界だけでも色々な出来事があり、対応に難しさを覚えることが多くあります。

特に、身近な重要な人との人間関係がうまくいかなくなった時に、私たちは困惑します。

そんな時に、ぜひ、選択理論を思い出して欲しいと思います。

今まで説明してきた選択理論は、脳がどのように働くかを説明したものです。

人は誰でも生まれつき基本的欲求(愛・所属、力、自由、楽しみ、生存)を持っていて、それを満たそうとして行動します。

 

具体的には、上質世界と呼ばれる人生の質を高めてくれると思う人、物、状況などを人間はイメージ写真として脳に描き、それを手に入れようとして行動します。

人は、上質世界に賭け事や、麻薬などのように、一時的でしかない不健全な方法で欲求を満たすものも入れてしまうことがあるので、自分の上質世界に何を入れるか、注意する必要があります。

たとえ健全なイメージ写真でも、それを手に入れる行動が他人に迷惑をかけるようでは問題です。

ですから、人が社会の一員として生きていくためには、

一、状況を的確に判断し
二、自分が何をすればいいか選択し
三、自分が選択したことに責任を持つ

この三つの能力を持つことが必要だと思います。


そのためには、親が子どもに「ああしなさい、これはダメ」とガミガミ言って指示することは、あまり賢明ではないかもしれません。

親が子どもに変わって物事を判断して選択していたら、子どもが自分で判断し選択する能力を養う機会を、奪ってしまうことになるからです。

親が決めていると、物事がうまくいかなかなくなった時に子どもは親のせいにします。

親ができることは、子どもが判断しやすいように役立つ情報を提供することです。

これすらも、押し付けや強制にならないように注意が必要です。

仮に子どもが判断を誤っても、批判したり文句を言ったりせず、どのような方法で責任を取れるか、また、この次どうしたらいいかを穏やかに話し合い、子どもがより良い選択ができるようにサポートします。



 

時に忍耐が必要ですが、人間関係が良好であることは、自分の我を通そうとしていがみ合うよりもずうっとストレスがありません。

相手を変えようとしたり、相手の圧力に抵抗したりする時間とエネルギーを、もっと肯定的で前向きまことに費やすことができたら、人生はもっと楽しくなると思います。

私自身が、「選択理論」を学んで実践したことにより、子どもとのトラブルを回避できたひとつのエピソードをお話します。

長男は、どちらかというと力(達成感)の欲求が強い子どもだったと思います。

なぜかというと、小さい頃家族でトランプやオセロのようなゲームをしている時に、自分が負けと言っても、達成感を得たい彼は、負け続けるのはいやなのです。

そんな彼が、明日は期末テストがあるという前の晩、自分の部屋で飼っていた熱帯魚の水槽を掃除し始めました。

普段からしっかり勉強しているならともかく、親の私からしては「せめてテストの前の日ぐらい勉強すればいいのに」と思いました。

以前の私だったら、「水槽の掃除なんかいつでもできるんだから、何も今日しなくてもいいでしょ!」と言っていたと思います。

「でも待てよ、どうして彼は今日に限って、今まで延ばしていた水槽の掃除をする気になったんだろう」と考えました。

「人の動機づけは内側から」だと、グラッサー博士はおっしゃっているので、水槽の掃除はどの基本的欲求を満たすことになるのだろう、と考えてわかったことが次のようなことでした。

子どもも子どもなりに「今から勉強しても明日のテストに間に合わない。そうなると良い点は取れない。テストの点数が悪いと通知表の成績も良くならない」と考えたのでしょう。

力の欲求がもともと強い彼は、良い成績を取ることが無理なら、他の方法で達成感を得られるものを自然に脳が求め、水槽の掃除をすることを選んだのだと思います。

彼にしてみれば、汚れた水槽をそのままにしておくよりは、水を入れ替えガラスを吹き、やらなければいけないと思っていたことをやれば、達成感を得られます。

たぶん、そういうことなんだなと理解した私は、今から勉強しても間に合わないという判断には共感できたので、「勉強しなさい」とは言いませんでした。

でも、多くの母親は「勉強しなさい」と言わなかったら、子どもがますます勉強しなくなることを心配します。

勉強すれば良い点が取れる。

良い点が取れれば良い成績が取れる。

成績を上げれば良い高校に入れる。

良い高校に入れば良い大学に入れる。

良い大学を卒業すれば良いところに就職ができる。

良いところに就職できれば良い結婚ができ、やがて定年退職して、老後は幸せに年金暮らしができるだろう、と考えているのではないでしょうか?
 
 そして、子どもの幸せを願うからこそ、親が子どもに「勉強しなさい」と言うのは当然だし、子どもにしつけをして人間として生きるマナーをみにつける事は親の務めだと、信じて疑わないのです。

 では、中学生の時に「勉強しなさい」と言ってあげなかった我が家の長男は、不幸せな人生を歩んでいるでしょうか?

そんなことありません。

アメリカの大学を卒業してコンピューター関連の会社に就職し、生き生きと彼が望む人生を送っています。

ガミガミと母親が注意することよりも、学校や職場での様々な問題に直面し疲れて帰ってくる子どもや夫が、ほっとリラックスできる温かい家庭を築くことの方が大切なのでは、と思っています。
 
 

著者:柿谷 寿美江
発行:クオリティ・コミュニティをめざす会
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